ニュースの要約
- ワインの味覚嗜好を二次元の座標空間として可視化する味覚解析アプリ「TasteMap」を開発
- 20年以上蓄積した8,000本のワインの色彩・風味データと信州大学の研究成果を統合
- ユーザーの主観的な味覚評価を体系的に収集し、味覚研究と社会実装の循環モデルを構築
概要
株式会社TasteDatabank(愛知県安城市、代表取締役:神谷豊明〈信州大学大学院博士課程在籍〉)は、ワインの味覚嗜好を二次元の座標空間として可視化する味覚解析アプリケーション「TasteMap」を開発しました。
本アプリは、TasteDatabankが20年以上にわたり蓄積してきた約8,000本のワインの色彩・風味データ(全530項目)と、信州大学繊維学部 田原研究室の味覚等の化学感覚に関するセンシング技術を用いた多変量解析・数理モデル技術を統合することで、個人の味覚嗜好を”位置情報”として表現する新しい手法を採用しています。
研究成果を一般消費者にも体験いただくため、TasteMap初期版を研究参加型プロジェクトとして応援購入サービス「Makuake」にて先行公開しています。消費者が入力する味覚評価データは、味覚科学研究およびアプリの推定アルゴリズムの高度化に活用されます。
本プロジェクトの3つのポイントは、1.多次元風味データの統計的縮約による「味覚座標空間」の構築、2.消費者の主観的評価を体系的に収集する研究参加型モデル、3.産学連携による研究成果とサービス実装の両立です。
TasteMapアプリでは、味覚特性530項目から構成される高次元風味データを、多変量解析および非線形次元削減によって低次元化し、風味の類似度構造を保持した座標空間(味覚地図)として可視化しています。さらに、ユーザーが入力する酸味・甘味・ボディといった主観評価を統合することで、”ユーザー固有の味覚位置(座標)”を推定します。
また、味覚評価の「基準点」を揃えるため、独自に設計・商品化した「基準ワイン(Reference Wine)」を活用します。ユーザーがまず基準ワインを評価することで、主要味覚指標における初期値が取得され、以降の評価に活用されます。
TasteMapの社会実装は、味覚情報学の体系化を長期的な目標としており、嗜好構造の高度解析、他酒類・食品領域への応用、小売・外食産業における実装、大規模嗜好データベースの構築などの取り組みを予定しています。
編集部の感想
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ワインの味覚を科学的に可視化するこのアプリは、これまでのワイン選びの経験を一変させそうですね。
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消費者参加型で研究開発を進めるアプローチは、ユーザーニーズに寄り添った技術の発展につながりそうです。
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産学連携で味覚科学の基礎研究と実用化を両立させる取り組みは、新しい価値創造につながると期待できます。
編集部のまとめ
TasteMap:株式会社TasteDatabank 味覚嗜好を”座標化”するワイン味覚地図アプリを開発についてまとめました
株式会社TasteDatabankが開発した「TasteMap」は、ワインの味覚嗜好を二次元の座標空間として可視化するアプリケーションです。
同社が20年以上にわたり蓄積してきた8,000本以上のワインの色彩・風味データと、信州大学の味覚センシング技術を組み合わせることで、個人の”おいしさ”を数値化し、二次元の地図上に表現することに成功しました。
研究参加型プロジェクトとして先行公開されるTasteMapは、ユーザーの味覚評価データを蓄積することで、より高精度な嗜好推定アルゴリズムの開発につなげていく計画です。
このように、基礎研究と社会実装を両輪で進めるアプローチは、ワイン愛好家はもちろん、小売・外食産業など、幅広い分野での応用展開が期待できるでしょう。
TasteDatabankは長期的に味覚情報学の体系化を目指しており、今後の技術革新と共に、ワインや食品の新たな楽しみ方を切り開いていくことでしょう。













